メールの情報伝達有効
国内で使われている携帯電話は今年1月現在、8577万台。約5000万台の固定電話をはるかに上回り、個人の情報通信メディアの主役として普及している。今や携帯電話には、従来の公衆電話や自宅の固定電話が担っていた以上に、社会の基幹インフラとしての期待が持たれている。
安全が社会の大きなテーマになり、「いざという時のため」に携帯電話を持つ人も少なくない。普段から利用し、最も慣れ親しんでいる情報機器である携帯電話には、災害時にも優れた力を発揮できる可能性がある。
災害時の情報ニーズには、(1)避難を助けるための情報提供(2)迅速な救助・救援のための情報伝達(3)安否情報の提供―の3つがある。こうした視点のもと、携帯電話活用の可能性に触れながら、本年度に発生した災害時における情報伝達の問題点に触れたい。
昨年7月の新潟・福島水害の被災地で行った聞き取り調査では、ほとんどの自治体で、避難勧告発令の決定は遅くなかったものの、情報伝達の手段が欠如していたため住民に情報が行き渡らなかったことが分かった。
電話は不通になり、広報車は危険で活動できず、コミュニティFMは聞いている人がいない状態。防災無線はなかったり、機能しなかったりした。伝達システムは、人が情報を引き出す「プル型」でなく、より積極的に情報を届ける「プッシュ型」であるべきだ。FMは利用しやすく、降雨中も聞きやすいが、ほとんど聞かれていなかった。
「プッシュ型」情報としては、同報無線に加え、携帯メールを使って避難勧告を伝達する仕組みが有効だろう。台風で大きな被害が出た兵庫県豊岡市で行ったアンケートでは、「もし携帯メールでの情報配信サービスがあったら利用するか」との問いに、50%以上の人が利用したいと答えた。
また、救助情報に関連しては、全国300の消防本部に聞いたところ、想像以上に携帯電話が利用されていることが分かった。消防本部と病院の間は固定電話連絡だが、救急隊と病院、救急隊と患者の間の連絡は携帯電話が使われ、消防本部と救急隊の間も、無線連絡に加え、かなりの割合で携帯電話が使われている。9割の消防本部が「携帯電話が不通になると困る」と回答した。
安否情報については、近年災害用伝言版が普及し始め、新潟県中越地震では電話による伝言サービスは約35万件、iモードによる伝言サービスは約25万件の利用があった。しかし、実際に被災した地域の中では、ほとんど使われていない。
使わなかった理由は、「知らなかったから」が最も多く、次いで「メールが使えたから」だった。今後さらに周知していく必要があるだろう。
携帯メールについては、同じく中越地震の調査では、「すぐに使えた」18・2%、「なんとか使えた」57%で、「まったく駄目だった」は24・8%。発信規制が行われた通話に比べ、かなり使いやすかったといえるだろう。
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