|
|
| 「レジ袋の有料化を考える」 ディベート合戦から (06/02/05) |
容器包装リサイクル制度の改正に向けて、スーパーなどで無料配布しているレジ袋が事実上、有料化される見通しとなりました。環境省などはスーパーなどの小売業者に有料化を促すことで、レジ袋の使用量の削減を図る考えです。果たして有料化によってレジ袋は削減できるのでしょうか。第1回は「レジ袋の有料化」をテーマに1月25日、静岡市内で開催された大学生のディベートの様子を取り上げます。参加したのは静岡大、県立大、常葉学園大の3チームです。各チームが肯定、否定側に立ち、議論を展開しました。 |
| |
|
肯定側 製造過程のCO2半減
否定側 ごみ減量期待できず ◆肯定側・静岡大 二酸化炭素(CO2)の削減につながり、地球温暖化の防止になる。日本ポリオレフィンフィルム工業組合の試算によると、年間30万2000トンのレジ袋が国内で使用されている。これらのレジ袋の製造過程で発生するCO2量は約21万トン。内閣府が昨年9月に実施した環境問題に関する世論調査では、55%がレジ袋の有料化に賛成した。仮にこれらの人がマイバッグを持参すると、発生するCO2量は少なくとも半減すると考えられる。反対派の多くが「家庭でごみ袋として使っている」とリユース(再利用)している点を挙げているが、ごみ袋として使う場合、食品の油などが付着し再商品化は困難。結局、出されたレジ袋はサーマルリサイクル(燃料として再利用)されるか、埋め立てられる。レジ袋をリユースしても、リデュース(使用削減)やリサイクルができていないので循環型社会とはいえない。有料化すればリデュース効果が出る。マイバッグとして使うことで繰り返しのリユース効果も出る。 ◆否定側・県立大 ごみに占めるレジ袋の割合は低く、ごみの減量のために有料化するのは得策ではない。江戸川区の例を見ると、ごみの中で容器包装類の占める割合は4―5%で、とても低いと考えられる。有料化しなくても、マイバッグ運動を展開することでレジ袋の削減が可能になるのではないか。レジ袋をごみ袋として利用できる地域は、ごみ袋の購入量が増加するので削減につながらない。レジ袋を生産する企業が倒産したりリストラが起こるため、失業者が増えてしまう。また、衝動買いが少なくなり、店の売り上げが減少し、経済に悪影響が出る。買い物の手軽さを売りにしている店舗では魅力が半減する。
肯定側「反対の45%の人たちはレジ袋をごみ袋として再利用している」 否定側「レジ袋がなくなった場合、新しいごみ袋を買わなければならない。それではごみの量は減らない」 肯定側「4―5%は江戸川区のみの数字で、日本全体の割合ではない」 否定側「日本全国でも、容器包装類のごみは半数以上などの大きな数字にはならない。プラスチック類のごみはごみ全体の中でも少ない。また、コンビニは行こうと思っていくことは少ない。何かのついでに寄ることが多く、衝動買いが少なくなる。静岡市などは市の指定のごみ袋を購入しなければならない。レジ袋を有料化しても焼却するビニールの数は変わらない」 肯定側「すべての地区がレジ袋をごみ袋として使用できるわけではない。レジ袋をごみ袋として使えないところは8割ある。こういった地区ではレジ袋の量は減るのでは」 否定側「レジ袋をごみ袋として使うとリユースの可能性が狭くなる。1枚5円や10円だったら買ってしまう人がほとんどだと思う」 |
| |
|
肯定側 環境問題考えさせる
否定側 意識だけで解決せず ◆肯定側・県立大 有料化を通して人々がごみ全体の問題を考えるようになり、環境問題の意識向上につながる。平成9年の環境白書では埋め立て地の耐用年数が9年弱と言われ、一刻も早くごみの減量が必要。ごみ問題や石油の使いすぎを考えるとこのまま放っておけない。袋が海に流れ、亀や魚がクラゲと間違えて食べて死んでしまうこともある。プランとしては大きさによって20円から50円に設定し、すべてのレジ袋を有料化する。違反した店舗は厳重注意し、効果のない店は営業停止などの厳しい処分を与えるべき。買い物袋を持つことで持てる容量が決まって衝動買いが少なくなる。その結果、個人で自由に使えるお金が増え、経済の活性化につながる。レジ袋が減れば、ごみ処理費用も削減され、その分のコストを教育などほかの政策に使うことができる。 ◆否定側・常葉学園大 環境意識が芽生えると言ったが、問題意識の向上によって解決するのか。例えば、クールビスは成功したが、ウォームビズは成功していない。クールビズは省エネをしようという問題意識の向上と自分たちも涼しくなるという利害関係の一致があったから成功した。しかし、今冬は寒く、ウォームビズを進めようとしても難しい。問題意識が向上しても解決するとは限らない。だから有料化によってごみが減るとは直接言えない。
否定側「有料化しなかった場合に小売店を営業停止処分にすべきと言ったが、それは店の営業の自由を侵していることになる。レジ袋代をどのような形で徴収するのか。税として自治体に納めるのか」 肯定側「店の収入と考える。その分で、店の商品を安くすることも可能になる」 否定側「有料化によってレジ袋を減らすことはできても、静岡市などでは指定のごみ袋を買わなければならない。ごみ袋の生産量が増え、その分、石油も使われる。有料化しても結局は使用する石油の量は変わらない」 肯定側「レジ袋がなくなり、指定のごみ袋をいざ買おうといった時に、ごみを減らそうと思うのでは。そういった1つ1つの意識でごみが減っていく。石油燃料はあと数10年と言われている。一刻も早くごみを減らさなければならない」 |
| |
|
肯定側 生産減で原油節約へ
否定側 効果は微々たるもの ◆肯定側・常葉学園大 有料化によってレジ袋の使用量が減少する。全国生活学校連絡協議会の意識調査では、有料でも使うと答えた人は13・7%とごくわずかで、使用量は減ると推測する。また、レジ袋を減らすことで日本が環境先進国であることを世界にアピールできる。日本は京都議定書に署名している。レジ袋の使用量が減り、ごみとして燃やされていた量も減れば、CO2量も減らせる。レジ袋の生産量も減り、原料である原油の節約にもつながる。1987年、国連において日本が提案して発足されたブルントラント委員会では、私たちが将来の世代の利益を損なわないように環境を利用していくという「持続可能な開発」を世界に向けて強く求める提言がまとめられた。原油は限りある資源。原油を節約すれば、この開発を実践していることを訴えられる。 ◆否定側・静岡大 有料化しても原油輸入量の削減につながらない。日本ポリオレフィンフィルム工業組合によると、日本の年間原油輸入量は2億4000万キロリットル。そのうち55・8万キロリットルがレジ袋に使用され、その割合はわずか0・23%。たとえ有料化され、マイバッグ持参率が100%になっても削減される割合はたった0・23%。実際にレジ袋を有料化している東京のチェーンストアでも、レジ袋の辞退率は平均8割程度。有料化しても原油輸入の削減につながるかは不明確。国民の環境への意識が高まるとも限らない。家電リサイクル法が施行されたことで、家電の不法投棄が増えている。そもそも無料配布の禁止はサービスの低下につながる。高級百貨店の袋は一種のブランド効果がある。レジ袋は宣伝効果を期待している側面もあり、すべての店が有料化するとは考えにくく、無料配布や価格競争が予想される。
肯定側「まず、やる前にどうなるかを考えた方がいい。石油はわずかな量でも無駄に使えない。日本だけでなく、世界中のことを考えれば、多くの量が使われている」 否定側「レジ袋だけ狙い打ちしても意味がない。石油をもっと使う製品に目を向けた方がいい。有料化したことによって店から客が離れることも考えられる」 肯定側「レジ袋1枚を燃やした際に発生する二酸化炭素量は100グラム。1人あたり年間で18・9キログラム発生させることになる。日本は先進国の1つ。国を挙げて環境に取り組むことに意味がある。たった石油0・23%の削減だが、各国が取り組めば、世界の使用量が減る」 否定側「まず大切なのは消費者が自発的に環境問題を考え、レジ袋の金額に関係なく、自主的にマイバッグを持参すること。有料化という表面だけのアピールでいいのか」 |
![]() |
| ■次回(12日=日曜日)は「レジ袋の有料化を考える」インタビュー ディベートはいかがでしたか。学生たちがさまざまな角度からレジ袋について考えたようですね。肯定側からは、ごみの量が減る、二酸化炭素量が減るなど環境保護を強調する意見が多かった一方、否定側からはサービスの低下になる、衝動買いが減り経済に悪影響を及ぼすなど小売店側のデメリットを挙げた意見が目立ちました。皆さんはどう考えますか。次回は、消費者とレジ袋を扱うスーパー、それぞれの立場から意見をうかがいます。皆さんもご意見をお寄せください。 |