私自身、ネット通販をよく利用しますので、ネット通販の可能性を否定するわけではありませんが、感じたことを言葉にするなら「味気ない買い物」という表現になります。
パソコンの画面で見ただけの商品を事務的メールでやり取りし、購入する―欲しい品物を自販機のごとくコミュニケーションを介さずにじかに受け取りたい利用者にとってはとても便利な買い物方法だと思いますが、もし自分の近くに実店舗で同じ品物があった場合、果たしてそのネットショップで購入したでしょうか。
「顔が見えない」「品物に触れない」「コミュニケーションがない」など、ネット通販にはおのずと限界があります。ネット通販業者は実店舗以上に、注文から発送まで気を抜かずきちんと対応することが、今後のネット通販の拡大につながっていくのではないかと思います。
(磐田市、加藤享、40歳、会社員)
商品をじかに手に取ったり自分の目で見たりできることが店頭販売の魅力であり、買い物の範囲が広いのがネット等の通販の魅力である。例えば田舎町にいても高級ブランド品が買えたり、離れた所にいても地方の名産品等が買える。どちらにも大きな魅力があり、今の時代、商売の世界は店頭販売とネット通販の両方がないと成立しないと言えるだろう。そのうちネット通販が幅を利かせてくる時代が来るというが、もうそんな時代が来ているのかもしれない。
私事だが私が所属している祭関係のとある団体が、先日、四国の某業者からメンバーの法被をインターネット販売で購入した。届く前に写真で見た私はその段階で気に入ったが、届いたものを見たら写真で見たのよりずっと良く色彩もルックスも着心地も抜群だった。
ただネット通販はこういうふうにうまくいくこともあれば、詐欺のようなこともあったり、あるいは消費者からのクレーム処理に業者が苦労させられる問題があったりで、今後はそれらの問題点を徐々に改善していくことが課題だろう。
いずれにせよネットのおかげでわれわれはすてきな法被を手に入れられたし、ネット通販には賛成だ。
(三島市、八っつぁん、39歳、自営業手伝い)
生産者が見える地元の産品も大切にしたいし、遠隔地のネット通販もちょっとぜいたくな買い物には大切だ。
自分の人生に多大な影響を与えてくれた先輩や知人には、季節のあいさつの代わりに、主として地元のお茶農家の上等な煎茶(せんちゃ)を贈っている。地元に住む身内へのあいさつには、青森や北海道の海産物などは少しぜいたくな贈り物に感じる。
また、静岡市から移住してきた私の地元へのささやかな貢献として、地産地消にも力を入れたい。ネット通販と地産地消を使い分けることが、私の人生のバランス感覚だ。
(藤枝市、宮崎加平、71歳、地域活性化アドバイザー)
私は静岡市街で、昆布専門店の乾物屋を営んでおります。一九九七年に自分のお店を持ちたいとネット通販のサイトを始めました。
契機は、父と一緒に店に居ても、父についているお客さんは私からは商品を買ってくれないという経験でした。商売を継ぐと同時に、大変さを痛感していた時期でした。
その後たった一人でネット通販を始め、ホームページの作り方、発送の仕方、はたまた昆布の採り方まで、ネット通販で仕事をしていく上で必要なことはすべてインターネットの中で調べ上げました。
また問屋任せの仕入れを、北海道の産地問屋や漁師さんとネットで直接取引をし、産地にも出向いて昆布の目利きも学びました。それだけでは飽き足らず、今では私が函館まで出向いて、漁師と一緒に昆布も採りに行きます。
ネット通販は双方向といわれますが、お客様と今日の天気から始まる世間話をしながらの実店舗販売にはかないません。私自身、実店舗の利点をネット通販に、また、ネット通販の利点を実店舗にと両者のフィードバックをしながら日々こつこつと商売に励んでいます。
現在ではまだ残念ながらインターネットの「負の面」がメディアでも多く取り上げられますが、私にとってインターネットは「世界の図書館」のような存在で、既になくてはならないものです。
実店舗もネット通販も大変厳しい時代です。家族で経営している小売業が量販店や競合するネット通販会社などに対抗していくには、流通、商品、お客様対応すべてに通じ、これまでに築かれた流通システムの市場、問屋、量販店の役割や専門性などまでも把握しておかないととても太刀打ちできないのです。お客様もネットを通じて商品についてとても勉強しています。実店舗とネット通販という両極にあるものを大切にしながらこれからも商売していきます。
(静岡市、西ケ谷建志、37歳、自営業)
私はネット通販と地産地消が対極だと思ったことはない。むしろ地産地消の延長にあるのがネット通販で、対極なのは現在の流通経路ではないかと思う。
カタログや定期購入が主だった通販にネットという手段が加わることで、売り手も買い手も道が広がったと思う。良い物を作ればもっと広く知ってほしいと思うし、お気に入りを見つけたら家でも使いたい、食べたいと思うだろう。
今までどんなに販路を広げたくても、大きなルートに乗せるまでが大変で限界があった。地方の個人業者や店でさえ、ネットなら安易に参入でき、口コミにより全国を市場にすることも夢ではない。
一方、消費者も、見えない仲介者が重なることは、金の無駄と不安が大きい。いわばネット通販は、買い手自身をバイヤーにする。
そしてカタログ通販とも大きく異なるのが、限りなく口コミに近いということだろう。信用商売への努力はどんどん重要になっている。
実は以前、現地で試食したリンゴがおいしかったので、自宅送りを注文したことがある。受け取ったら全く違う物で、いくら生ものだといえ、二度とその店は利用する気にならなかった。旅先などから送る時は、試食した物をその場で送ることにした。正月用の新巻きザケが箱の半分ぐらいの大きさだったこともある。
しかし今、特にネットでこんな商売をすれば地元でも成り立たなくなるだろう。食品によってはその土地で食べるからこそおいしい物があるが、個人店にも販路を持たせてくれるネット通販は、今後、生産者や企業も積極的に取り入れた方が有益だと思う。
(伊豆市、谷口智美、45歳、主婦)
「ネット通販」といっても昔の人間にはピンとこないし、なじみにくい。私たちは昔から買い物は店に行って現物をよく見て手に取り、信用して買ってきた。こうした習慣が長い間続いてきた。そこには売り手と買い手の心が通っていた。これが買い物の基本ではなかろうか。
ところが、今はコマーシャルや情報に振り回され賢い消費者になっていないのではないか。物を大切にする心、無駄を省く心、もったいないという心は日本人の美徳であったはずだ。それが「ネット通販」で失われるような気がしてならない。
賢い消費者になるには、まず必要な物を必要なだけ求めることである。今の若い人は昔のような苦労をしていないので、便利な「ネット通販」に頼って不必要な物まで衝動買いする恐れがなきにしもあらずである。その結果、自己破産の一因にならないとも限らない。
(藤枝市、大石容一、75歳、農業)
パソコン、インターネットを駆使できない偏屈親父のヤッカミ、ぼやきと思って聞いてください。
「ネット通販」に興じることができるということは平和を謳歌(おうか)しているということだな、とつくづく平和のありがたさを思う。何か事あるごとに危機管理が叫ばれる昨今、通販特に今回のテーマ「ネット通販」での購入の習慣は、食糧危機の際、地域、隣人等人間関係を緊密にしていれば乗り切れたのにと悔しい思いを味わう、ということもあり得る。
マイナス思考に考えれば際限がない。手っ取り早く言えば、地産地消の恩沢にあずかりながら、ふるさとの名産、特産を友人、知人にちゃっかりアピールして親交、旧交を温められたなら、ひょっとして目に見えないところで危機管理の手を打っていることになっているかもしれない。
世の中そんなに甘くはないけど、「ネット通販」には血の通った人間関係が存在するとは思えない。だからわたしは、たといパソコン、インターネットをやれるようになっても、「ネット通販」には手を出さないだろう。
(島田市、ブンブン、55歳、農業)
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■次回(8月20日=日曜日)は「どうする少子化対策」インタビュー
次回のテーマは「どうする少子化対策」です。総務省がこのほど発表した今年3月31日現在の人口は1億2705万5025人で、1968年に人口動態調査が始まって以来、初めて前年比マイナスとなりました。出生率から死亡率を引いた自然増加率も初のマイナスとなり、出生率低下に歯止めが掛かりません。高齢化も同時進行し、労働力不足とそれに伴う財政難、活力の低下が日本の未来に暗雲を投げ掛けています。少子化はなぜ止まらないのか、どんな対策を取ればよいのかについて、専門家の意見を聞きます。
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